WSJがドコモがiPhoneの導入をあきらめていないが、導入の大きな障害となっている問題についてダウジョーンズによる山田社長へのインタビューを取り上げて報じています。
それによると、ドコモはiPhoneを導入をあきらめていないが、導入のためには高いハードルがあり、交渉は膠着状態のようです。
ドコモが飲めない二つの理由
ハードルをクリアできない理由の一つが、アプリのプリインストール制限です。Appleは自社で開発したブラウザ、メールクライアント、計算機などの最低限のアプリをプリインストールするだけで、キャリアによる独自のアプリのプリインストールを禁止してきました。
このためドコモはi-modeメール、おサイフケータイなどの独自のアプリをプリインストールしてiPhoneを提供することができません、このことがドコモにとって導入の大きな障害です。(i-modeという独自のエコシステムはドコモの収益源でもあります)
もう一つの理由は。Appleによる過大なノルマの存在です。これはキャリアにとって大きな負担です。(ノルマ達成のため、キャリアはiPhone独自の通信料金や割引を設定せざるを得ません)
結果的に大量販売によってiPhoneがドコモの主力商品になることは(経営上)飲めない条件です。
林檎:ドコモはi-modeという独自のネットワーク環境とアプリを提供してきたがために、今のところ、それを崩壊させてまでiPhoneを導入する気はないようです。(まだドコモにそれだけの余力があると言うことです)
i-modeの憂鬱
i-modeに関しては、iPhoneにi-modeアプリ=独自のブラウザ、メール、ゲームアプリなどをプリインストールできれば問題ないのですが、今のところiPhoneは人気商品のため、Apple側は個別のキャリアに妥協してまでiOSをローカライズする必要性を感じていません。(ローカライズは開発コストを上昇させますし、メインテナンスを困難にします)
ドコモ側からすると、これまでi-modeに巨額の投資をしていて、i-modeによるウェブ閲覧、電子メール、各種アプリ、おサイフケータイとそれらのデータ利用料などが大きな収入源となってきました。これを手放すということは、収入源を手放すだけでなく、これまでの努力してきたユーザーの囲い込みを放棄するということです。
販売ノルマ
iPhone販売の条件であるノルマについても、ドコモが扱うスマートフォンにおけるiPhoneのウェイトを非常に高めるため、ドコモにとっては飲めない条件です。これを飲むと販売促進のために独自の低額通信料金を設定したり、本体の値引きをしたりしなければならず、他の商品とのバランスを崩してしまう可能性があります。
膠着状態
この状況もスマートフォンが普及し、i-mode離れが加速すれば、ドコモは路線を変更してAppleに妥協する可能性が高まります。反対にiPhoneの人気が低下して販売台数が落ち込む状況になれば、AppleはiOSのローカライズに応じるかもしれません。
今のところは両社とも交渉を続けながらも強気の姿勢を崩していません。しかし、どちらかが売り上げ減少で、妥協しなければならない状況が生じると交渉は一気に動き出すかもしれまません。
しかし、その状況はもう少し先になりそうです。
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