2005年6月にストリンガーがSonyのCEOに就任した時、多くの人がCBS社長経験者とはいえ、ジャーナリストが、なぜ世界的なエレクトロニクス企業であるSonyのCEOに就任するのか?と不思議に思ったものです。
推測ですが、対外的にも改革のポーズをとりたいSonyの経営陣にとって、比較的温厚なストリンガー氏が対外的な顔として好都合だったのでしょう。
ストリンガー氏の功績といえば、Sonyピクチャーズの事業に関してですが、本業のエレクトロニクス事業への貢献が見えてきません。
ロイターが、ストリンガーが2005年にCEOに就任したときに比較して、現在のSonyの株価は60%超も下落したと報じていることからも分かるとおり、ストリンガー会長はSonyの業績を低迷させています。
最近では、来年の3月で退任するという噂までまことしやかに報道されましたが、WSJのイベントで退任を否定し居座りを決め込みました。
否定したどころか、ストリンガーは同イベントで「Appleに対抗できるようなプラットフォームを開発するために5年間を要したが、ついに完成した」と新しいTVの発売に意欲的であると伝えられています。(9 to 5 Mac)
Sonyはストリンガー体制で安全運転を続けてきた結果、テレビ事業が失敗するなど、エレクトロニクス事業の将来図を描けていません。
Appleもテレビを開発しているとされていますから、本当にそれに対抗できるだけの製品を発売できるのでしょうか? これまでのSonyの見通しの甘さから、疑わしいと言わざるを得ません。
ストリンガーCEOの報酬は昨年の株主総会で8億円以上と判明しましたが、はっきり言って報酬だけの成果を上げていません。
この低迷から抜け出すためには、ストリンガーCEOを退任させ、新しい体制でリスクに立ち向かっていくしかありません。
うがった見方をすれば、Sonyの社内は人材不足でそれができないため、ストリンガーCEOが居座ることができるのでしょう。
Sonyもリスクをとれないために、逆にリスクに襲われるという(ある意味、逆説的な)日本的・官僚的企業になってしまったと言わざるを得ません。
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