CNNが配信した「ジョブズ氏の革新に影響を与えた思想とはーー日本の禅僧と長年の交流」という記事が話題になっています。
すでにジョブズ氏と禅との関係は有名でWikipediaなどにも記載されていましたが、彼の死まではそれほど注目を集めませんでした。
しかし、ジョブズ氏がまるで神のような存在感、使命感を持っているのは(少なくともそう見えるのは)何故だろうと考えると、彼の思想的な源泉となる宗教観=禅の影響に触れざるを得ません。
CNNの記事には禅からの影響として、あの有名なスタンフォード大学での講演の一節がピックアップされています。
「過去33年間、私は毎朝鏡の中の自分に向かって『もし今日が自分の人生最後の日だったら、今日やろうとしていることをやりたいと思うだろうか』と問い掛ける。そして答えが「ノー」の日が続いたら、何かを変えなければいけないと思う。自分はいつか死ぬと思い続けることは、私が知る限り、何かを失うかもしれないという思考のわなに陥るのを防ぐ最善の方法だ」。
ジョブズ氏が禅から学び、見つめていたものは究極の自己であり、死を超え、恐怖を超越した境地なのでしょう。彼は、まるで芸術家のようにそれらの眼に見えないものを、眼に見える形に表現しようとしました。
ジョブズ氏が喧騒と混乱に満ちた現実世界の中で、彼なりの超越美を表現するため、iPodのボタンを減らし、iPhoneにたった一つのアプリを操作するメインボタンを作り、刃物のような形をしたMacBook Airを世に送り出しました。
ジョブズ氏は自分の考え方に合わないものは、すぐにAppleから追い出し、目的を遂行するためならば宿敵Microsoftとも手を組み、専制君主のように内部の情報統制を行い、部下が常識的に囚われることを忌み嫌いました。
長年の経験から生半可な愛や同情、常識や経験が人間を硬い殻の中にに閉じ込め、可能性を失わせていることを感じていたのです。
ジョブズ氏の考え方や生き方は、冷徹な合理性に貫かれていると同時に、まるで知的理解を超えた禅問答のようでもあります。まさに私たちの常識を超えています。
以下の「禅マインド ビギナーズ・マインド 」は20世紀における” 禅スピリチュアリティ " の名著です。
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