WSJ日本版によるとAppleが一時的にエクソンを抜いて株式の時価総額が世界一の企業になったとのことです。その時価総額は3430億ドル(日本円で26兆4200億円)とエクソンの3340億ドルを上回りました。
アメリカの財政不安から発した世界同時株安で、3週間前には4100億ドルあったエクソンの株価が、大幅に値下がりしたことから、一時的にですがAppleが時価総額で首位に立ちました。
Appleの発展は非常に嬉しいですけど、株価がどうのこうのといっても、一般ユーザーにはほとんど関係のない話です。ユーザーにとって重要なのはAppleの株価ではなく、Appleが引き続き、魅力的な製品やOSをリリースしてくれるかどうかなのです。
でも、私たちのAppleが世界一の企業になったことは、今までどちらかというとマイナーだったAppleが広く認知されてきたということで、ユーザーとしては喜ぶべきなのかもしれません。
ただ、コアなファンにとっては、Appleが頂点に上り詰めたことにより、ご多分にもれず他の大企業と同様に保守的になってしまい、平凡な企業になることのほうが心配です。
私は株価のことはよくわかりませんが、2001年にiPodを発売して依頼、iPhoneやiPadの成功によって、株価が40倍に跳ね上がったということですから、超バブリーな成長です。普通の製造業ではありえません。
その点で、長年にわたり、政治力を駆使してエネルギーメジャーとして君臨してきたエクソンとは、性質の違う企業であり、逆にユーザーから支持を受けなくなれば、あっという間に株価が四十分の一になってもおかしくない消費者と直接接する典型的なB to Cの企業です。
エクソンは世界中に石油や天然ガス採掘の利権を持ち、世界中に販売して利益をあげていますが、Appleの利益の根源は、ブランドイメージを含めた無形の知的財産です。
自前の工場を持たずに他社に生産を委託して、利益を上げるビジネスモデルはApple以外にもDELLなどアメリカの企業が得意とするところですが、逆にものづくりにこだわる日本の企業の苦手とするところです。
Appleが今後も順風満帆であり続ける保証はありません。特に心配されているのはジョブズ氏の後継者問題です。Appleやgoogle、Amazonといった革新的な企業の成長の源泉は、巨大な企業にもかかわらず、意思決定が非常に早いことです。
ジョブズ氏の去ったAppleは、ビル・ゲイツが去った後のマイクロソフトのように官僚的な組織にならないという保証はありません。
Appleがビジョナリー・カンパニーであるかどうかは、ジョブズ氏がいかに後継者を育て、組織に理念を浸透させてきたかにかかっています。それを見極めるのはまだ時期尚早のようです。
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