なぜ、巨大化した多くの企業は勢いを失ってしまうのでしょうか?
ソフト業界の巨人Microsoftは年明けのラスベガスで開催されるCESで新タブレットを発表します。
もちろん天下のマイクロソフトのOSが搭載されるタブレットですから、注目が集まります。でも、反面、中途半端な製品であれば、ユーザーの落胆は大きく、いよいよ苦しい局面を迎えます。他の製品のイメージまで傷つけることになりかねません。
Microsoftの確実な選択はWindows 7もしくは8を搭載したフルスペックのタブレットを発売することです。Windows OSをチューンナップして、タブレットに最適化します。Officeなどのキラーアプリが使えますから、ある程度の支持は受けそうです。しかし起動速度の問題、ソフトのレスポンスとバッテリーの急速な消耗というタブレットして致命的な問題を抱えています。
MicrosoftがiPadやGalaxy Tabなどとマトモに勝負しようとすれば、機能面で同等以上でなければなりません。すでにiPhoneやAndroidは多くのユーザーがいますから、その牙城を崩すのは大変です。
自由度はないですが、シンプルな使いやすさがあるiPad。逆に自由度はありますが、統一性に欠ける恐れのあるAndroid搭載機。それぞれが個性を発揮しています。(もちろんタブレットのパイオニアはAppleです)
しかし、二つに共通しているのはアプリや電子書籍を販売するiTunesやAndroidマーケットというコンテンツを提供する仕組を持っていることです。
Microsoftは現在、インテルではなくARM製 CPU用のタブレットOSを開発していると噂されています。もし真実ならば省電力でバッテリー駆動時間を伸ばそうとしているに違いありません。しかし、ARMのCPUは省電力である反面、非力なCPUです。既存のWindows 7などフルスペックのOSを動かすのは不可能です。
例え次世代のARM製CPUがデュアルコアになったところで巨大なWindows 7や8を動かすのは現実的ではありません。
Microsoftがタブレット市場で成功するかどうかは、既存のOSの考え方にとらわれず大胆な発想でOSを開発できるかにかかっているような気がしてなりません。
企業の衰退は既存の資産にこだわるあまり、斬新な発想を失っていくことですから、まさに最近のMicrosoftはこの状況に陥っています。(以前、Windows MobileなどPDA・スマートフォン市場でかなりのシェアを持っていたのにAppleのiPhoneやBlackBerryにやられてしまいました)
思い切って既存のOSとの互換性を切り捨てて、新しいOSを開発できるかどうかがMicrosoftの未来を左右しますが、現在のMicrosoftは巨大なタイタニックのように見えてしまいます。
そう思いながらも、やっぱり天下のMicrosoftですから、素晴らしい製品を出して欲しいものです。そうでないとAppleはライバルを失いApple製品の進化も遅れてしまうかもしれません。
余談ですが、AppleのジョブズCEOに比べてMicrosoftのバルマー氏は地味ですね。自由な発想を持った芸術家と官僚的なサラリーマンほどの違いがありますね。
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