D10 conferenceにおいてインタビューを受けたAppleのティム・クックCEOは、ジョブズ氏から学んだこととして「集中」をあげました。スティーブ・ジョブズ氏はテクノロジーにレーザーのように集中し、それはAppleに根付いていると語りました。ジョブズ氏は偉大なことをなそうと思えば、他のことを捨て去れと言ったそうです。(MacRumorsライブブログ)
本当にそのとおりです。人生でできることは限られています。時間の制約、お金の制約、体力面の制約、精神面の制約など、人生における制約は数えたらきりがありません。そこで何かをなしたいと思ったならば、何を取捨選択するかを決めなければなりません。
私たち凡人にとって、何かを作り上げようとか、何を成し遂げようとかいいう一点集中の目標を持つ発想=幸運な機会はほとんどありません。
本当はそれがないと突き出たことは何もできませんし、今、この瞬間に、幸せを感じるような幸福感は得られないでしょう。
言葉で言うのは容易いですが、おそらくジョブズ氏の周辺で働く人は非常にしんどかったに違いありません。ジョブズ氏の並外れた集中=ある意味、強迫神経症的な完璧主義に振り回されることが多かったでしょう。しかし、同時にそれがなければ、Appleの尖った、研ぎ澄まされたプロダクトはできないことを理解していたからこそ、多くの人が付いて行ったのです。
反面、賛同できない人はすぐに会社を去りました。AppleのMBA取得社員の離職率は非常に高かったと言われています。
しかし、その企業文化に合わない人がすぐに辞めていく風土は、ビジョナリーなカンパニーに必要なことです。
日本でも企業の生き残りのためには、選択と集中が叫ばれますが、Appleのようにラインアップを絞り、少数精鋭の製品から収益を上げるのは勇気のいることです。おそらく日本の多くの経営者はサラリーマン化、官僚化しているために、できるだけリスクを減らす方向、選択と集中とは正反対の方向=リスク分散へシフトしがちです。
しかし、グロバールで競争していく時代には、特定分野で尖っていないと勝ち抜くことができないために、リスクをとらないことが最大のリスクになるという罠にはまってしまいます。
ジョブズ氏は、ビジネスだけでなく、個人の人生においても「選択と集中」が必要だということを教えてくれます。これは安定を選ぶか、リスクを選ぶかという選択レベルの話を超えたところにあります。
「自らの魂の声を聞け、そして、そのために悔いることなく行動しろ」というジョブズ氏が毎日、自身に問いかけていたであろう「人生における選択と集中」です。これ以上のポジティブシンキングがあるでしょうか。
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