世界で最も株式時価総額が高い企業になり絶好調のAppleですが、それだけの大企業になっても、その内情を知る人は多くありません。原因はAppleの極端な秘密主義です。
どうして、そのような秘密主義になったのでしょうか? また、大勢の従業員を抱えながら、秘密を守ることができる企業文化はどこからくるのでしょうか?
著者のアダム・ラシンスキー氏が、元Apple従業員やAppleとの取引においてAppleのことを知っている人物にインタビューを行い、Appleの内情をまとめたのが本著書です。
以下に象徴的な部分を引用します。
「アップルの社員は、自社ビルに建築業者が入ってきたときに、これから何か大きなことが起きるのを知る。すぐに新しい壁が作られ、ドアがつき、新しいセキュリティ規則が示される。透明だった窓が磨りガラスになる。窓がまったくない部屋もいくつかできる。それらは封鎖室と呼ばれ、特別な理由がないかぎり情報の出入りがなくなる。
社員としては、この騒ぎはありがたいものではない。たいてい何が起きているのかわからないし、自分の方からも訊かない。内容を知らされないなら、文字どおり自分の仕事ではないのだ。そのうえ、改築前に一定の場所に入ることができたセキュリティバッジはもう使えなくなる。想像がつくのは、何か極秘の新しいプロジェクトが始まり、自分はその内容を知らないということだけだ。」
Appleは、他企業との交渉や取引を自分のペースで行います。iPhoneという名称はシスコが所有していましたが、スティーブ・ジョブズ氏が、法廷闘争になる寸前にシスコを説得してAppleが使用できるようにしました。また、iOSの名称もシスコが所有していたが、シスコの了承を得る前に使っていしまい、後から話をまとめるという強引な手法をとりました。このような手法はアップルだからできることで、通常の企業では考えられません。
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