「Appleはカルト集団なのか?」
答えは「ノー」です。
しかし、あくまでも表面上の話です。
Appleは当然ながら企業情報が公開されている株式公開企業ですし、社員は自らの意思でAppleに入社し、嫌になれば自由にAppleを去ることができます。
ただ、内部に目をやると状況は異なっているようです。Appleが異常なほど情報統制にこだわっていることは、これまでも様々なメディアが報道してきました。その企業風土を作り上げたのは、もちろん故スティーブ・ジョブズ氏です。ジョブズ氏は情報統制することによって、一風変わった企業集団を作り上げました。
その状況はフォーチュンのAdam Lashinsky氏が出版する「Inside Apple」に記載されています。
ある話題を会議で議論するには、部屋にいるすべての人に話題が「開示」されており、特定の秘密が内々に明かされていることを確かめる必要がある。元従業員の1人は「全員に情報が開示されていることを確かめるまでは、いかなる秘密についても話すことはできない」と述べている。その結果、Appleの従業員と彼らのプロジェクトは、パズルのピースとなる。完成したパズルの全体像を知っているのは、組織の最上層部だけだ。(Cnet)
Appleでは何が秘密の情報なのか、自己判断が求められるようです。もしも不注意に情報を漏らせば、即刻クビになります。それはバーでのちょっとした話であっても容赦なく処分されます。
再遺書の質問の「カルト」については、Wikipediaにその特徴が記載されています。
カルトの特徴 [編集]
マイクル・シャーマーによれば、一般的に以下のように性格づけられる。
- 指導者に対する崇拝
- 聖人、あるいは神格に向けられるものとさして変わらない賛美。
- 指導者の無謬(むびゅう)性
- 指導者は絶対に間違いを犯さないという確信。
- 指導者の知識の広さ
- 哲学的な事柄から日常の些細なことまで、指導者の信条や口にすることはなんでも無条件に受け入れる。
- 説得のテクニック
- 新たな信徒を獲得し、現状の信仰心を補強するために、寛大なものから威圧的なものまで手段はさまざま。
- 秘密の計画
- 信仰の真の目的と計画が曖昧としている、あるいは新規入信者や一般大衆にはそれらが明確に提示されていない。
- 欺瞞
- 入信者や信徒は、その頂点に立つ指導者や集団の中枢部に関してすべてを知らされるわけではなく、また大きな混乱を招くような不備や厄介事に発展しそうな事件、あるいは状況は隠蔽されている。
- 金融面および性的な利用
- 入信者や信徒は、その金銭およびそのほかの資産を差し出すよう説得され、指導者には一人かそれ以上の信徒との性的関係が許されている。
- 絶対的な真理
- さまざまなテーマにおいて、指導者、あるいは集団が見いだした究極の知識に対する盲信。
- 絶対的な道徳観
- 指導者、あるいは集団が確立した、組織の内外を問わず等しくあてはまる、思考および行動に関する善悪の基準への盲信。その道徳の基準にきちんと従えば、組織の一員としていられるが、そうでない者は破門されるか罰せられる。
Appleにも、かなり当てはまる項目があります。しかし、カリスマ経営者のジョブズ氏が亡くなったので、「指導者」に関する部分は、徐々に薄まっていくはずです。最後まで残るのは情報統制でしょう。
Appleの企業文化である徹底した情報統制によって、Apple社内は敵対的な雰囲気が漂いオープンでフレンドリーなシリコンバレー発祥の文化とは異なっているようです。それについてTechChrunchはこう書いています。
Appleは働いていて楽しいところではない、とLashinsky(前述)は言う。そこは張り詰めた場所であり、多少恐怖に支配されていたが、価値ある職場だった。Apple社員は高い給料をもらっているが、他のシリコンバレー企業に見られるように法外ではない。彼らは金のためにやっているのでもない。彼らは製品のためにやっている。少々カルト的に聞こえるが、その通りだ。崇拝されているのは製品だ。Apple教に入信するか否かのいずれか。それは、Appleの消費者についても員についても真実である。(TechChrunch)
再び、「Appleはカルト集団なのか?」を問うと、答えはイエスかもしれません。
それはApple社員だけではなく、Apple製品が好きな人、すべてがカルト集団に属しているようなものです。崇拝対象はMacであり、iPhoneであり、iPadです。
Appleの製品は究極まで突き詰めたデザインを採用しています。それは、あたかも神秘主義やオカルトで言うところの「一者」「一なるもの」に通じているかのようです。
熱狂的なユーザーは潜在的な部分でそれを感じ取っているのかもしれません。
最近のコメント