SamsungとAppleの関係は最悪になりつつあります。両社の大きな節目は今年4月にAppleが、Galaxyシリーズが特許を侵害しているとSamsungを裁判所に訴えたことです。
それまでの両社はある意味蜜月関係で、SamsungはAppleのA5プロセッサやフラッシュメモリの製造を受託してきました。(引き続き現在でも供給し続けています) しかし次世代のA6プロセッサ(来年以降に発売されるiPad・iPhoneに搭載予定)はSamsungではなく台湾のTSMCが製造を担当する予定で、すでにテストに入っていると報じられています。
A6は28nmのプロセスで製造されるARM系プロセッサで、AppleはTSMC技術を高く評価したとも言われていますが、Samsungとの紛争関係が大きく影響していることは確実のようです。
これまで、AppleはSamsungに製造委託するために企業秘密となる新製品情報をSamsungサイドへ提供せざるを得ませんでした。その関係があるのにも関わらず、SamsungはiPhoneとiPadにそっくりなGalaxyシリーズを発売し、Appleに喧嘩を売りました。
そのようなSamsungに対して、Appleは法廷闘争を続けています。この8月9日にドイツの裁判所がAppleの特許侵害という訴えを認めて、オランダを除く欧州でのSamsungのGalaxy Tab 10.1の販売を差し止める判決を下しました。この結果が示すようにAppleは徹底的にSamsungと闘うつもりです。
従って、AppleがiPadやiPhoneの重要な部品の発注を他社に移していくというのは自然な流れです。SamsungはAppleからCPUやフラッシュメモリ、液晶ディスプレイなどの部品を受注するメリットとGalaxyシリーズを販売し続けるメリットを比較して、Galaxyシリーズの販売を選んだのでしょう。Appleが技術力と安定した生産力があるメーカーさえあれば、Samsungへの発注を取り止めるのは当然、予想できたはずです。(ひょっとするとSamsungはAppleを甘く見ていたのかも?)
そういう意味でTSMCのA6製造の報道はAppleのSamsung離れを象徴するものですが、ややこしいのは2つのメーカーが法定闘争を繰り広げながらも、相互にメリットがあるならば、その分野では引き続きビジネスを続けるという日本人には、あまりできない芸当をやってのけることです。
A6の製造は台湾のTSMCになるのかもしれませんが、A7はどうなるのか分からないのが、弱肉強食、群雄割拠のIT業界です。
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