Appleは2月、雑誌や新聞などのアプリを利用した定期購読についても、販売者がAppleに30パーセント支払う、いわゆるApple税を課金するように規約を改正しました。
Appleが販売する有料アプリは、開発者側がユーザーがアプリを購入する時に一回限りのApple税を支払えばよかったのですが。新聞などの定期購読などアプリ内での販売にもバッチリ、30パーセントのApple税をかけることで、Appleは定期購読分の課金収入をガッチリ稼ぐ計算でした。これで磐石の収益構造を確立したかに見えましたが、コンテンツ販売側の反発は相当なものでした。
それまでアプリからのリンクを張って、コンテンツ販売のサイトへユーザーを誘導することによって、自由にコンテンツを販売することができたのですが、それが禁じられるとともに、App Storeでの販売は、同一コンテンツについてApp Store外ではより低価格で販売することを禁じる内容でした。
これに対して対抗措置を講じたのが新聞社でした。
フィナンシャルタイムズ(Financial Times)は、App Storeで配布したアプリを使った定期購読販売ではなく、サイトををHTML5で構築して、ユーザーがAppleを通さずに直接、定期購読できるやり方に変更しました。(トップ・下写真)(HTML5ではコンテンツをあらかじめダウンロードしてオフライン購読することが可能です)
これに対して、Appleはマズイと思ったのか、規約を緩める作戦に出ました。6月10日に報道された内容では、価格の縛りを無くしたほか、アプリ外で購入したコンテンツをiPadアプリで購読、再生してもよいことになりました。(リンク設置は禁止のままです)
しかし、火の手はなかなか収まりません。何でも自分のペースでやろうとするAppleに対して、嫌がらせのような対抗策が出てきました。
ニューヨークポスト(NewYorkPost)のサイトががiPadのSafariからのアクセスを受け付けなくなったのです。iPadのSafariでサイトにアクセスするとiPadのアプリ(230円)を購入するように促され、サイトを見ることができません。(下写真)
他のブラウザではまったく問題なくサイトが表示されますから、iPadのSafariを狙い撃ちにした嫌がらせとしか思えません。
iPadのほOperaを除いたほとんどのブラウザがAppleが開発したウェブエンジンのWebKitを使っていますが、数種類試しても、Safari以外のブラウザは全てニューヨークポストのサイトにアクセスできますから、iPadのSafariを狙い撃ちしていることは確実です。
Appleは、ユーザーがソファに寝転がって新聞や雑誌を購読する便利なiPadをイメージしていたはずですが、風向きが変わってきました。Apple税と呼ばれる強権的な課金を実施したおかげで、一部の新聞社がiPadやiOSから離れています。
商売は、共に笑うものとはよく言ったものです。AppleはiPadがスゴイ勢いで売れ続けたがために、少々勘違い、悪乗りしてしまったようです。
ひょっとすると、その代償はかなり大きいかもしれません。
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